添い乳って、ダメなの?|宮崎・もあな助産院

「添い乳、やめたほうがいいですか?」

「添い乳よくないって聞いたんですけど……」

——そんなふうに聞かれることが、よくあります。

赤ちゃんの睡眠についての発信を目にして、添い乳はいけないことだと受け取っていらっしゃるのかなと思います。

そうではありません。

先に、いちばんお伝えしたいことを書きますね。

授乳しながら寝ることができるのは、赤ちゃんにとって、とっても幸せな時間です。

🌿 この記事でわかること

  • こども家庭庁は、こう書いています
  • 母乳は、リスクを下げる側でもあります
  • 添い乳のとき、気をつけていること
  • 赤ちゃんは、どんな気持ちで寝ているのでしょう
  • お母さんにとっても、意味があります

こども家庭庁は、こう書いています

こども家庭庁のページを、実際に読んでみました。

そこに書かれているのは「添い寝」についてです。添い乳とは書かれていません。

ただ——添い乳は、添い寝をしながらの授乳です。ですので、あわせて知っておいていただけたらと思います。

大人の身体で赤ちゃんに覆い被さったり、口や鼻を塞いでしまったりする危険がある添い寝には注意をしましょう。

と、記載してあります。

注意は必要だと思います。

とくに——お酒を飲んだときや、眠気が出るお薬を飲んでいるときは、避けてください。[1] 自分では気づかないうちに、深く眠ってしまうからです。

そして、この章はこんな一文で締められています。[1]

赤ちゃんの睡眠時のすべてのリスクを避けることは難しいですが、まずは、無理なくできることからはじめてみませんか。

添い乳は、お母さんにとって楽ですし、赤ちゃんも安心できます。窒息には気をつけながら、やっていきましょう。

母乳は、リスクを下げる側でもあります

意外に思われるかもしれませんが、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを低くする3つのポイントの2つめが、これです。[1]

  • 1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせましょう
  • 無理のない範囲で母乳育児を
  • たばこをやめましょう

資料には、こう書かれています。[1]

母乳で育てられている赤ちゃんのほうが、SIDSの発生率が低いことが研究でわかっています。

添い乳のとき、気をつけていること

私がお伝えしていることを書きますね。

授乳しているあいだ

  • 赤ちゃんを横向きにして、鼻の穴をふさがないようにします
  • お母さんの腕を、赤ちゃんの頭の下に入れます。入れずに、赤ちゃんを引き寄せる形でもかまいません
  • どちらの形でも、赤ちゃんの高さを、おっぱいの位置に合わせます

腕を入れるか入れないかは、お母さんの体格や、赤ちゃんの大きさによってちがいます。やりやすいほうで大丈夫です。

飲み終わったあと

  • 赤ちゃんが呼吸できる空間を、確保します
  • お母さんが少しずれて、距離をあけます
  • 赤ちゃんの頭のまわりには、何も置きません

飲んでいるあいだより、飲み終わったあとのほうが大事かもしれません。そのまま眠ってしまうことも、ありますから。

赤ちゃんは、どんな気持ちで寝ているのでしょう

ここが、いちばん書きたかったところです。

赤ちゃんにとっておっぱいは、ただ栄養をとるための場所ではありません。

日本新生児看護学会の「NICUに入院している新生児の痛みのケアガイドライン」では、採血などの処置をするときに、直接母乳をあげることを提案しています。[2]

痛みのある場面でも落ち着けるくらい、おっぱいには赤ちゃんを安心させる力がある——医療の現場でも、そう使われているということです。

ですから、夜中に目を覚ましたときも——おっぱいがあれば、赤ちゃんはまた安心して眠りに戻れます。

(ちなみに母乳には、体内時計の調節にかかわるメラトニンというホルモンが含まれていて、夜間に濃度が高くなります。赤ちゃんは生まれてしばらく、自分では十分に作れません。[3])

お母さんにとっても、意味があります

私も、添い乳をしていました

座って授乳していると、頭がくらくらして、だんだん難しくなってきたんです。それで、添い乳をするようになりました。

私にとっては、添い乳でないと体がきつくて、授乳を続けることが難しかったです。

お母さんが、からだを楽にして授乳できること。これは、それだけで大事なことだと思います。

そして——夜の頻回授乳にも、添い乳なら休みながら対応できます。

「くせになるのでは」と言われることがあります。でも、私はこう思っています。

くせというより、自分自身も授乳を続けていくための工夫です。そして、赤ちゃんにとっても安心な時間かなと思います。

そうすることで、日中も体力を保ちながら生活できる——そこまで含めて、添い乳なんです。

「やめたほうがいいですか」と聞かれたら

私は、こうお答えしています。

SNSの情報を見て「やめたほうがいいのでは」と思っていらっしゃるのなら——まず、お母さんご自身がどうしたいのかをうかがいます。

そして、罪悪感でいらっしゃるのなら、お伝えすることは決まっています。

赤ちゃんは、とっても幸せな気持ちで、安心して寝ています。何も悪いことはしていません。

お母さんの体がしんどくて困っていらっしゃるようでしたら、どうするかを一緒に考えます。

お母さんはどうしたいのか。そして、赤ちゃんにとっては、どんなふうに寝たいかな。

トントンでいいときもあるかもしれないし、授乳や抱っこがいいというときもあるのかなと思います。

おふたりにとって、からだもこころも楽な方法が見つかるとよいなぁと思います。

もあな助産院では、授乳のご相談をお受けしています。実際の姿勢を見ながら、その方と赤ちゃんに合う形を一緒に確認できます。

宮崎市・西都市・高鍋町を中心に、出張でのケアもしています。

まとめ

  • こども家庭庁は「添い寝には注意をしましょう」と書いています。お酒を飲んだときや、眠気が出るお薬を飲んでいるときは避けてください
  • 母乳は、SIDSのリスクを下げる側です(国の3つのポイントの2つめ)
  • 気をつけること——横向きにして鼻をふさがない/腕を頭の下に入れる、または引き寄せて高さを合わせる/飲んだあと呼吸できる空間を/終わったら少し距離をあける/頭のまわりに何も置かない
  • おっぱいは、赤ちゃんが安心できる場所です。新生児の処置のときにも使われています
  • くせというより、続けていくための工夫です。お母さんが体を楽にして、日中の体力を保つことまで含めて、添い乳です

赤ちゃんの睡眠については、いろいろな情報があります。

添い乳はきっと、お母さんと赤ちゃんが、毎日の生活のなかで行き着いた方法です。

授乳しながら寝ることができるのは、赤ちゃんにとって、とっても幸せな時間です。

どうか、ご自分を責めないでくださいね。

参考文献・補足

  • [1] こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように ~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~」。SIDSの発症リスクを低くする3つのポイント、睡眠中の窒息のリスクを下げるポイント、添い寝に関する記述。
  • [2] 日本新生児看護学会・「新生児の痛みの軽減を目指したケア」ガイドライン作成委員会「NICUに入院している新生児の痛みのケアガイドライン」2020年改訂・実用版
  • [3] エコチル調査富山ユニットセンター「母乳で育った子どもは『睡眠不足が少ない傾向』-エコチル調査からの8万人超の結果より-」2026年4月。母乳に含まれるメラトニンに関する考察。
  • 本記事は、上記および助産師としての臨床経験をもとに作成しています
  • 赤ちゃんの眠り方や授乳の様子には個人差があります。ご家庭の寝る環境もそれぞれ異なりますので、心配なことは産院や助産院でご相談ください

投稿者プロフィール

松田ゆかり
もあな助産院(宮崎市)院長。2003年に助産師免許を取得し、20年以上にわたり地域のお母さんと赤ちゃんに寄り添ってきました。もあな助産院は2012年に開業。乳房ケア(BSケア)・産後ケア・クレニオセイクラルセラピーなどを通して、母子のケアを行っています。「お母さんと赤ちゃんが安心して妊娠・出産・産後を過ごせるように。そして、おふたりがもともと持っている力を、しっかり発揮できるように——そんなケアを心がけています。」