抱っこで手首・腰が痛い…産後の体の痛みとケア|宮崎・もあな助産院

「抱っこするたびに、手首がズキッとする」

「腰が痛くて、床から立ち上がるのがつらい」

「肩も首も、ずっとガチガチ」

——産後、こんな痛みに悩んでいませんか。

この記事では、宮崎で助産院を開業している助産師が、産後の体の痛みについてお伝えします。まず、いちばん大事なことを先に。——その痛みは、あなたの体が弱いからではありません。産後の体は、もともと痛めやすい状態なんです。

🌿 この記事でわかること

  • 産後に痛くなりやすい3か所
  • どうして痛みやすいのか
  • 抱き上げかたを、少し変えてみる
  • おうちでできること
  • こんなときは、整形外科へ

産後に痛くなりやすい、3か所

手首

赤ちゃんの頭を支えるとき、手首を反らせた形になります。1日に何十回もそれをくり返すので、手首の親指側が痛くなる方が多いです。

そして——手首を使うのは、抱っこのときだけではありません。

沐浴で赤ちゃんを支える。おむつを替えるときに足を持ち上げる。着替えをさせる。産後は、手首を使う場面そのものが一気に増えます。ひとつひとつは小さくても、それが1日じゅう積み重なります。

ペットボトルのふたが開けられない、赤ちゃんを抱き上げようとすると痛みが走る——そんな状態になることもあります。

床から抱き上げる、抱っこしたまま前かがみになる、おむつを替える。腰を使わない育児は、ありません。

とくに気をつけたいのが、抱っこするときに腰が反りやすいこと。赤ちゃんを支えようとすると、おなかを前に突き出すような姿勢になりがちです。この姿勢が続くと、腰に負担が集まります。

しかも赤ちゃんは、日に日に重くなっていきます。

肩・首

授乳のときの前かがみの姿勢、抱っこ、そして夜中に何度も起きること。肩と首は、休む時間がないんです。

どうして、痛めやすいの?

理由は、大きく2つあります。

ひとつは、単純に回数が多いこと。1日に何十回と同じ動きをくり返せば、どこかに無理がきます。特別なことをしていなくても、痛くなって当たり前なんです。

もうひとつは、産後の体は、関節がゆるみやすい状態にあること。出産に向けて体をやわらかくするはたらきが、産後しばらく残っていると言われています。関節が安定しにくいぶん、いつもより痛めやすい時期なんです。

ですから——「私の体が弱いからだ」ということでは、ありません。産後の体には、痛みが出やすい理由が、ちゃんとあるんです。

抱き上げかたを、少し変えてみる

まず、赤ちゃんを自分のからだに寄せてから

床やベビーベッドから抱き上げるとき、腕をのばしたまま持ち上げていませんか。

腕をのばした状態で持ち上げると、重さが全部、手首と腰にかかります。

そうではなく——まず赤ちゃんを自分のからだに寄せて、それから腹筋を使って抱き上げてください。

同じ重さでも、体に近いほど軽くなります。腕ではなく、おなかで持ち上げる感じです。

床から抱き上げるときは、腰を曲げるのではなく、ひざを曲げてしゃがむと腰が守れます。

抱っこ紐が使える時期になったら、使いましょう

抱っこ紐は、赤ちゃんの重さを肩と腰に分けてくれます。使える時期になったら、遠慮なく使ってください。

ただし、気をつけていただきたいことがあります。

  • 首がすわっていない時期の縦抱きは、慎重に。赤ちゃんの首と背中がしっかり支えられているか、そのつど確認してください
  • 長い時間は使えません。お母さんの体のためにも、赤ちゃんのためにもです
  • お使いの抱っこ紐の対象月齢と使用時間を、説明書で必ず確認してください

おうちでできること

お風呂で、しっかり温める

シャワーだけで済ませていませんか。

痛いところは、冷やすより温めるほうが楽になることが多いです。湯ぶねにつかれる時期になっていれば、ゆっくり入ってみてください。体全体が温まると、肩も腰もずいぶんゆるみます。

「そんな時間ない」と思われるかもしれません。でも、10分でもちがいます。だれかに赤ちゃんを見てもらえる日だけでも、湯ぶねに入ってみてください。

身体が温かいことのメリットの記事もどうぞ。)

肩や首を、回してみる

同じ姿勢が続くと、肩も首もかたまってしまいます。

肩をぐるぐる回す。首をゆっくり回す。それだけでも、ずいぶんちがいます。

わざわざ時間をとらなくて大丈夫です。赤ちゃんを寝かせたあと、ほんの少しの間に。気づいたときに、少しずつ動かしてみてください。

お風呂あがりの、体が温まっているときにやると、より動かしやすいです。

抱っこを代わってもらえるときは、頼る

これが、いちばん効きます。

ご主人でも、ご家族でも——抱っこを代わってもらえるなら、頼ってください。10分でも20分でも、手首と腰が休まります。

「自分でやったほうが早いから」「泣かせちゃうから」と、抱えこんでしまいがちです。でも、お母さんの体を休ませることも、赤ちゃんのために必要なことです。

(ご家族との分担については、産後パパの役割分担の記事もどうぞ。)

痛いほうの手を、休ませる

抱っこするとき、いつも同じ側で抱えていませんか。反対側でも抱けるようにしておくと、片方に集中しません。

おむつ替えや着替えのときも、痛むほうの手をなるべく使わないようにしてみてください。

こんなときは、整形外科へ

おうちでのケアで様子を見ていい痛みと、そうでない痛みがあります。こんなときは、我慢しないで整形外科を受診してください。

  • しびれがある
  • 力が入らない・物を落としてしまう
  • 夜も痛くて、目が覚める
  • 腫れている、熱をもっている
  • だんだん強くなっている
  • 痛みがつらくて、日常のことがしづらい
  • しばらく続いていて、良くならない

「赤ちゃんがいるから行けない」と、後回しにしてしまう方がとても多いです。でも、まずは今の状態を診てもらいましょう。

受診のあいだ、赤ちゃんをどうするか——それも含めて、ご家族に相談してみてくださいね。

まとめ

  • 産後は手首・腰・肩と首が痛くなりやすい時期です
  • 回数が多いことに加えて、産後の体は関節がゆるみやすい状態にあります。あなたの体が弱いからではありません
  • 抱き上げるときは、まず赤ちゃんを自分のからだに寄せて、腹筋を使って。体に近いほど軽くなります
  • 床からのときは、腰ではなくひざを曲げて。抱っこ中に腰が反っていないかも、ときどき確認を
  • 抱っこ紐が使える時期になったら使いましょう。首がすわっていない時期の縦抱きは慎重に、長時間は使えません
  • お風呂でしっかり温める。肩や首を回してストレッチ。痛むほうの手は休ませる
  • 抱っこを代わってもらえるときは、頼ってください。お母さんの体を休ませることも、赤ちゃんのために必要です
  • しびれ・力が入らない・夜も痛む・つらくて日常のことがしづらい・良くならない——そんなときは整形外科へ

痛みは、がまんし続けるものではありません。どうか、ご自分の体もいたわってあげてくださいね。

参考文献・補足

  • 本記事は、一般的な医学情報を参考に、助産師としての臨床経験をもとに作成しています
  • 痛みの診断・治療は整形外科の領域です。気になる症状があるときは受診してください

投稿者プロフィール

松田ゆかり
もあな助産院(宮崎市)院長。2003年に助産師免許を取得し、20年以上にわたり地域のお母さんと赤ちゃんに寄り添ってきました。もあな助産院は2012年に開業。乳房ケア(BSケア)・産後ケア・クレニオセイクラルセラピーなどを通して、母子のケアを行っています。「お母さんと赤ちゃんが安心して妊娠・出産・産後を過ごせるように。そして、おふたりがもともと持っている力を、しっかり発揮できるように——そんなケアを心がけています。」