産後、上の子にイライラしてしまう…自分を責めないで|宮崎・もあな助産院

「上の子に、また強い言い方をしてしまった」
「あんなに可愛かったのに、どうしてイライラしてしまうんだろう」
「上の子がかわいそう。でも、余裕がない」

赤ちゃんが生まれてから、上の子への接し方に悩んでいませんか。そして、夜になって寝顔を見ながら、自分を責めていませんか。

この記事では、宮崎で助産院を開業している助産師が、その気持ちについてお伝えします。まず、いちばん大事なことを先に。——その気持ちを抱えているお母さんは、本当にたくさんいらっしゃいます。

🌿 この記事でわかること

  • その気持ちを抱えている方は、たくさんいます
  • イライラしてしまうのは、ホルモンのせいです
  • 上の子の「困らせる行動」は「ぼく・わたしを見て」
  • 自分を責めないでいい理由
  • 少しラクになるための工夫

その気持ちを抱えている方は、たくさんいます

「上の子にイライラしてしまう」——これは、口に出しにくい悩みです。「二人目が生まれて幸せなはずなのに」「上の子だって可愛いはずなのに」。そう思うほど、言えなくなってしまいます。

でも、助産師としてたくさんのお母さんと接するなかで、この気持ちを打ち明けてくださる方は、本当に多いです。言わないだけで、同じ思いを抱えている方は、あなたのまわりにもきっといます。

イライラしてしまうのは、ホルモンのせいです

まず、これをお伝えしたいです。

産後のお母さんの体は、赤ちゃんに没頭していくようにできています。ホルモンがそう働いて、心と体が赤ちゃんのほうへ向いていく時期なんです。

だから、上の子にイライラしてしまうのは——あなたの性格や、我慢が足りないからではありません。ホルモンのせいで、どうしようもないことなんです。

まずは、それを知っておいてください。それだけで、少し肩の荷が下りると思います。

眠れていないことも、重なります

そこに、細切れの睡眠と、まだ回復途中の体が重なります。いつもより、余裕がなくなる時期です。(産後の睡眠のつらさについては、産後の睡眠不足の記事もどうぞ。)

「上の子を優先して」という言葉が、プレッシャーになる

「二人目が生まれたら、上の子を優先してあげて」——よく言われる言葉ですよね。大切なことではあるのですが、これが「できていない自分」を責める材料になってしまうこともあります。

赤ちゃんが泣いていたら、放っておくわけにはいきません。両方を完璧にするのは、そもそも無理なんです。

上の子の「困らせる行動」は「ぼく・わたしを見て」

赤ちゃんが生まれたあと、上の子にこんな様子が出てくることがあります。

  • 着替えやトイレを「できない」と言う
  • ご飯を「食べさせて」と言う
  • 赤ちゃんの真似をする、赤ちゃん言葉になる
  • いつもより甘えてくる、離れたがらない

いわゆる「赤ちゃん返り」ですね。ここで大事なのは——本当にできなくなったわけではないということです。

上の子にとっては、これまでママやパパと過ごしていた時間が、ぜんぶ自分に注がれていたんです。それが急にそうではなくなって、不安になっている。だから、「ぼく(わたし)を見て」と伝えているんですね。

「自分でできるでしょ」の代わりに

忙しいときにこれが始まると、つい「自分でできるでしょ」と言ってしまいそうになりますよね。怒ってしまいそうにもなります。

でも、できたら——まずは「これがしたかったんだね」と受け止めてあげてください。そして、ご飯を食べさせてあげたり、お洋服を着せてあげたり

甘やかしているのではありません。「見てほしい」という気持ちが満たされると、また自分でやり始めます。

そして、これは「安心しているサイン」でもあります

もうひとつ、知っておいてほしいことがあります。

上の子がこうして感情を出せるのは、お母さんに対して「自分の気持ちを出しても大丈夫」と安心できているからなんです。

受け止めるのは、正直に言って大変です。でも、「感情を出せているから、よかった」——そう思えたら、少し見え方が変わるかもしれません。ちゃんと安心できる場所が、そこにあるということですから。

自分を責めないで、いいんです

上の子にイライラしてしまうのは、上の子への愛情が減ったからではありません。くり返しになりますが、産後のホルモンの変化のなかで、誰にでも起こることです。

それに——「上の子がかわいそう」と思えるのは、あなたが上の子のことを、ちゃんと大事に思っている証拠です。どうでもいい相手のことで、こんなに悩んだりしませんよね。

強く言ってしまった日は、あとで「さっきはごめんね」と言えたら、それで十分です。謝れるお母さんは、それだけで、じゅうぶん誠実です。

少しラクになるための工夫

ここからは、私が実際におうちにうかがったときに、お母さんにお話ししていることを書いておきますね。

「イヤ」と言われたら、まず「嫌なんだね」と受け止める

上の子が「イヤ!」と言ったとき、つい「わがまま言わないで」と返してしまいがちですよね。でも、まずは「そっか、嫌なんだね」と、その気持ちをそのまま受け止めてあげる

要求を全部かなえる必要はありません。気持ちを受け止めてもらえたというだけで、上の子は落ち着くことがあります。

赤ちゃんが寝ているあいだに、上の子と2人の時間を

長い時間でなくて大丈夫です。赤ちゃんが寝ているとき、パパが抱っこしてくれているとき——その少しのあいだに、上の子と2人で過ごす時間をつくってみてください。

  • 絵本を1冊、読む
  • 2人でお風呂に入る(お母さんが湯船に入れるのは、1ヶ月健診で確認できてからにしましょう)
  • 「今日もありがとう、大好きだよ」と、ぎゅーっとハグする

「短い時間でも、自分だけを見てもらえた」——それが、上の子にとって大きな安心になります。

ただ、これもお母さんの気力と体力が許すときで大丈夫です。「やらなきゃ」と思ってしまうと、また新しい負担になってしまいますから。できる日に、できるぶんだけ。ハグひとつでも、ちゃんと伝わりますよ。

「大事に思っているよ」を、言葉と写真で伝える

上の子にとっては、これまでママやパパと過ごしていた時間が、ぜんぶ自分に注がれていたんです。それが急にそうではなくなって、不安になっている。

だから、伝えてあげてください。「あなたのことも、大事だよ」と。

おすすめは、上の子が生まれたときの写真を一緒に見ることです。「あなたが生まれたとき、こんなに小さかったんだよ」「こんなにうれしかったんだよ」——そうやってお話しすると、上の子の不安が、少しずつ安心に変わっていきます。

上の子にも、慣れる時間が必要です

赤ちゃんが来て、家族のかたちが変わりました。これは、家族をもう一度つくり直していく時期——いわば「家族の再構築」です。

お母さんが慣れるのに時間がかかるのと同じように、上の子も、この新しい生活に慣れるまで、少し時間が必要なんです。すぐにうまくいかなくて当たり前。焦らなくて大丈夫ですよ。

上の子を中心に見てくれる人がいると、お母さんも安心

お母さんひとりで、赤ちゃんと上の子の両方を抱えるのは、やっぱり大変です。

上の子のほうを中心に見てくれる人——パパ、おじいちゃん、おばあちゃん。そういう存在があると、上の子も満たされますし、お母さん自身も、ずいぶん安心できます。

「私がちゃんとしなきゃ」と抱え込まないで、まわりの手を借りてくださいね。

つらさが続くときは、ひとりで抱えないで

気持ちの余裕は、体の余裕から生まれます。ひとりでがんばりすぎず、パートナーやご家族、地域のサポートや産後ケアも、どうか使ってくださいね。

そして、もし——

  • 気持ちがずっと沈んでいる、涙が止まらない日が続く
  • 眠れない、食べられない状態が続いている
  • 手が出てしまいそうで怖い、と感じることがある

こんなときは、がまんせずに相談してください。地域の保健師さん、かかりつけの産婦人科、そして助産院など、身近な専門職にまず話してみてください。相談することは、あなたと子どもたちを守るための、大切な一歩です。

宮崎で、産後の気持ちを話したいときに

もあな助産院では、産後ケアや育児相談を行っています。

「上の子にイライラしてしまう」——そんな気持ちも、よかったら聞かせてくださいね。ケアの日やイベントでお会いしたときに、少し話していただくだけでも大丈夫です。

ご予約:LINEまたはお電話で受け付けています。出張ケアもしています。

(夫にやさしくできない、というお悩みは、産後のイライラ・ガルガル期の記事もあわせてどうぞ。)

まとめ

  • 上の子にイライラしてしまうお母さんは、本当にたくさんいます
  • イライラしてしまうのはホルモンのせい。あなたのせいでも、愛情の問題でもありません
  • 「できない」と言うのは、できなくなったのではなく「ぼく・わたしを見て」のサイン。まずは受け止めて
  • 感情を出せるのは、お母さんに安心できているサイン。「出せているからよかった」と思えたら
  • 「かわいそう」と思えるのは、大事に思っている証拠
  • 強く言ってしまった日は、あとで「ごめんね」が言えたら十分
  • 「イヤ」はまず受け止める。短い時間でも2人きりの時間を。生まれたときの写真で「大事だよ」を伝える
  • 上の子にも、新しい生活に慣れる時間が必要。家族をもう一度つくっていく時期です

完璧なお母さんでいなくて大丈夫です。あなたは、もうじゅうぶんがんばっています。


参考文献・補足

  • 本記事は、一般的な育児・医学情報を参考に、助産師としての臨床経験をもとに作成しています。

投稿者プロフィール

松田ゆかり
もあな助産院(宮崎市)院長。2003年に助産師免許を取得し、20年以上にわたり地域のお母さんと赤ちゃんに寄り添ってきました。もあな助産院は2012年に開業。乳房ケア(BSケア)・産後ケア・クレニオセイクラルセラピーなどを通して、母子のケアを行っています。「お母さんと赤ちゃんが安心して妊娠・出産・産後を過ごせるように。そして、おふたりがもともと持っている力を、しっかり発揮できるように——そんなケアを心がけています。」