産後の睡眠不足がつらい…細切れ睡眠を乗り切るには|宮崎・もあな助産院

「まとまって眠れたの、いつが最後だっけ…」
「体が重い。頭がぼーっとする。なのに、夜はまた授乳…」

赤ちゃんはかわいい。それでも、睡眠不足は本当につらい——そう感じているお母さん、あなただけではありません。

この記事では、宮崎で助産院を開業している助産師が、産後の睡眠不足とのつきあい方についてお伝えします。がんばり方ではなく、休み方の話です。

🌿 この記事でわかること

  • 産後はどうして眠れないのか(あなたのせいではありません)
  • 睡眠不足が心と体にあらわれるサイン
  • 少しでも眠るための、現実的な工夫
  • 「休むために頼っていい」場所のこと

産後に眠れないのは、赤ちゃんに合わせて体が起きているから

生まれたばかりの赤ちゃんは、一度にたくさん飲むことができません。だから、昼も夜も2〜3時間おきにおっぱいを欲しがります。そして、お母さんの体は、その赤ちゃんのリズムに合わせて目が覚めるようにできています。

赤ちゃんが動いたり泣いたりすると、自然と目が覚める。それは、赤ちゃんが育っていくために必要な栄養を届けるためであり、「ここにいるよ」と伝えて安心させるためでもあります。眠っている間も、あなたの体は赤ちゃんのためにはたらいてくれているんですね。

とはいえ——それが、やっぱりしんどい。

大人の眠りは、深い眠りと浅い眠りをくり返しています。細切れ睡眠では、深い眠りに入る前に起こされてしまうので、合計時間のわりに「眠った気がしない」のです。

「眠れた気がしない」のは、気のせいでも、体力がないせいでもありません。細切れ睡眠の性質です。まずは「これはつらくて当然なんだ」と、自分に言ってあげてください。

そして、あなたの体は——そのしんどさに、ちゃんと応えようともしています。

短い時間でも、深く眠れるように変わっていきます

実は——産後のお母さんの体は、短い時間でも「深く」眠れるように変化していると考えられています。

授乳をしていると、体の中で「プロラクチン」というホルモンがたくさん出ます。このホルモンには、深い眠り(徐波睡眠)を増やす働きがあるといわれています。ある研究では、母乳育児中のお母さんの深い眠りの時間が、子どものいない女性の2倍以上だった、という報告もあります。

短い時間しか眠れなくても、その中身が「濃く」なっている。だから、合計時間のわりに、なんとか体がもっているんですね。あなたの体は、ちゃんとがんばってくれています。

細切れ睡眠がいつ落ち着くかは、赤ちゃんによって本当にさまざまです。赤ちゃんの睡眠リズムが少しずつ整ってくる生後3ヶ月ごろから、夜まとめて眠れる時間が延びてくる赤ちゃんもいます。一方で、もっと時間がかかる子もいます。「うちの子はまだかな」と焦らなくて大丈夫。ほかの子と比べず、あなたと赤ちゃんのペースで大丈夫ですよ。

睡眠不足のサイン、出ていませんか?

  • ささいなことでイライラする。家族にきつく当たってしまう
  • 涙もろくなる。わけもなく涙が出る
  • 頭がぼーっとして、忘れ物やうっかりが増える

これらは、性格の問題ではなく、脳と体が「休ませて」と言っているサインです。責めるところは、どこにもありません。

それから、もうひとつ。「赤ちゃんはかわいいのに、お世話が作業みたいに感じてしまう瞬間がある」——そんなふうに感じたことのあるお母さん、実はたくさんいらっしゃいます。毎日毎日、途切れずに続くお世話ですから、当たり前のことです。そう感じたからといって、あなたが冷たいわけでも、愛情が足りないわけでもありません。どうか、自分を責めないでくださいね。

少しでも眠るための、現実的な工夫

「赤ちゃんが寝たら家事」ではなく、「赤ちゃんが寝たら、まず自分も横になる」。これがいちばんの基本です。

  • 昼寝は「短くてもいい」——15〜20分横になるだけでも、頭と体は少し回復します。「どうせすぐ起きるから」とあきらめないで
  • 家事のハードルをぐっと下げる——ごはんはお惣菜や冷凍でいい。洗濯物はたたまなくていい。今は「眠ること」が家事より大事な時期です
  • 授乳と授乳の“あいだ”を、パパに任せる——母乳育児だと、細切れ睡眠になりやすいですよね。授乳そのものはママにしか代われませんが、授乳したあとの「げっぷ・寝かしつけ・抱っこ」をパパに任せて、ママはその間に横になる、という分け方なら、母乳のお母さんでも休めます。パパが育休中なら、夜の時間を区切ってこの形で乗り切っているご家庭もあります。
  • パパが翌日お仕事なら、「早めの時間だけ」お願いする——夜のいちばん早い授乳をすませたあと、寝かしつけから次の授乳までの3時間ほどをパパに見てもらい、ママはその間にまとめて眠る。夜の早い時間帯に一度でも深く眠れると、体の回復がぐっと違います。毎晩がむずかしければ、パパがお休みの前の日だけでも大丈夫。「今日はしっかり眠れる日」が週に一度あるだけで、気持ちがずいぶん軽くなります
  • 寝る前のスマホは、ほどほどに——せっかく赤ちゃんが寝たのに、気づいたら1時間スマホを見ていた…はもったいない。気持ちはとてもわかるのですが、その30分を眠りにまわせたら、明日が少しラクになります

どんな分け方が合うかは、ご家庭によってちがいます。「夜の1回をミルクや搾乳にする」という方法もありますが、母乳の出方も、赤ちゃんの様子もそれぞれ。私自身、「これが正解」とは言いきれずにいます。だからこそ、赤ちゃんの様子を見ながら、ご家族で話し合って決めていくのがいちばんだと思っています。

それから、ひとつだけ。「旦那さんは働いているから」と遠慮して、しんどさを言えずにいるお母さんが、本当にたくさんいらっしゃいます。でも、お母さんも24時間、赤ちゃんのお世話をしています。しんどいときは、我慢せずに伝えてくださいね。どちらががんばっているかを比べるのではなく、ふたりで乗り越えるために相談し合えることが、いちばん大事だと思っています。

そして、ご夫婦だけではむずかしいときは——ご家族の力を借りたり、産後ケアなどのサービスを使うことも、どうか選択肢に入れてくださいね。

つらいときは、人を頼ってください

睡眠不足が続くと、体だけでなく、心も少しずつ疲れていきます。「なんだかしんどいな」「もう限界かも」——そう感じたら、どうかひとりで抱えこまないでくださいね

  • 疲れているのに、横になっても眠れない
  • 気持ちがずっと晴れない、涙が止まらない
  • 「もう無理」と感じることが増えた

こんなときは、誰かに話すこと・頼ることが、いちばんの近道です。ご家族、地域の保健師さん、かかりつけの産婦人科、そしてもあな助産院——話しやすいところ、どこでもいいので、つながってください。「こんなこと相談していいのかな」ということほど、聞かせてほしいと思っています。

頼ることは、甘えではありません。あなたと赤ちゃんを守るための、大切な選択です。

「休むため」に産後ケアを使っていいんです

「産後ケアって、母乳とか育児の相談をするところでしょう?」と思われがちですが——お母さんが休むために使っていいんです。むしろ、休息は産後ケアの大切な役割のひとつです。

産後ケアは、本来は「赤ちゃんと一緒に、どうやって休んでいくか」を一緒に考える場所です。でも、疲労困憊しているときには、助産師が赤ちゃんをお預かりして、その間にお母さんにゆっくり休んでいただくこともあります。「スッキリしました」とおっしゃって帰られる方も、いらっしゃいますよ。

西都市・高鍋町の方は、市や町の利用券を使って、少ない自己負担で利用いただけます(くわしくはこちらの記事をどうぞ)。他の市町にお住まいの方は、お住まいの市町の産後ケア事業のご案内をご確認ください。

ご予約:LINEまたはお電話で受け付けています。出張ケアもしています。

→ ご予約・お問い合わせはこちら

(赤ちゃんがなかなか寝てくれない・置くと起きる、というお悩みは、背中スイッチの記事生まれたての赤ちゃんが寝ないの記事もあわせてご覧ください。)

まとめ

  • 産後の細切れ睡眠は、赤ちゃんのリズムに合わせて体が起きているから。あなたのせいではありません
  • でも、体はプロラクチンの働きで、短い時間でも深く眠れるように変化しています
  • イライラ・涙もろさ・うっかりは、体が「休ませて」と言っているサイン
  • 「赤ちゃんが寝たら、まず自分も横になる」。家事は思いきって手放して
  • 授乳のあとの寝かしつけをパパに任せるなど、家族と分担して「眠る時間」を作って
  • つらいときは、ひとりで抱えず、人を頼って・相談して
  • 産後ケアは、眠るために使っていい場所です

睡眠のつらさには個人差があって、いつ落ち着くかは赤ちゃんによってちがいます。「いつまで続くんだろう」と、先が見えない気持ちになる日もありますよね。それでも、「終わるまでひとりで耐える」必要はありません。今この瞬間を少しでもラクにするために、眠るために、周りを頼ってくださいね。


参考文献・補足

  • Blyton DM, et al. “Lactation is associated with an increase in slow-wave sleep in women.” Journal of Sleep Research, 2002.(母乳育児中の女性は深い眠り=徐波睡眠が増える)
  • 本記事は、上記および一般的な医学情報を参考に、助産師としての臨床経験をもとに作成しています。

投稿者プロフィール

松田ゆかり
もあな助産院(宮崎市)院長。2003年に助産師免許を取得し、20年以上にわたり地域のお母さんと赤ちゃんに寄り添ってきました。もあな助産院は2012年に開業。乳房ケア(BSケア)・産後ケア・クレニオセイクラルセラピーなどを通して、母子のケアを行っています。「お母さんと赤ちゃんが安心して妊娠・出産・産後を過ごせるように。そして、おふたりがもともと持っている力を、しっかり発揮できるように——そんなケアを心がけています。」