「赤ちゃんをかわいいと思えない」その気持ち、責めないで|宮崎・もあな助産院

「赤ちゃんを、かわいいと思えない」

——この気持ちを、誰にも言えずに抱えていませんか。「母親なのに、こんなこと思っちゃいけない」と、自分を責めていませんか。

この記事では、宮崎で助産院を開業している助産師が、その気持ちについてお伝えします。まず、いちばん大事なことを先にお伝えさせてください。——その気持ちを抱えているのは、あなただけではありません。そして、あなたは冷たい母親ではありません。

🌿 この記事でわかること

  • その気持ちを抱えているのは、あなただけではないこと
  • どうして、そう感じてしまうのか
  • 自分を責めないでいい理由
  • 少しずつ、思える日が増えていきます
  • いま、できること
  • 心配なサインと、相談してほしいとき

その気持ちは、あなただけではありません

「かわいいと思えない」「お世話が、作業みたいに感じる」「産んだのに、実感がわかない」——こうした気持ちは、口に出しにくいぶん、まるで自分だけが抱えているように思えてしまいます。

助産師として多くのお母さんと接するなかで、「かわいいけど、しんどい」「かわいいとは思う。でも、余裕がない」——そう話してくださる方は、本当にたくさんいらっしゃいます。

そして、そのなかには、お会いしてお話ししているときに「かわいいと、思えないんです」と話してくださる方もいらっしゃいます。

多いか少ないか、という話ではありません。お伝えしたいのは、あなたが初めてではない、ということ。同じ気持ちを、誰にも言えないまま抱えていた方が、確かにいらっしゃるということです。

どうして、そう感じてしまうの?

「産んだ瞬間から、あふれるような愛情がわく」——そんなイメージが世の中にはありますよね。でも、実際はそうとはかぎりません。

  • 母性は、最初から完成しているものではありません。赤ちゃんと過ごす日々のなかで、少しずつ育っていくものです
  • 産後の体は、ホルモンが大きく揺れています。気持ちが不安定になったり、感情がわきにくくなったりするのは、自然なことです
  • 眠れない・休めない・余裕がない。心がすり減っているときに、あたたかい気持ちがわきにくいのは、当たり前のことです

つまり、「かわいいと思えない」のは、愛情が足りないからではなく、あなたが疲れきっているサインであることが多いのです。(産後の細切れ睡眠のつらさについては、産後の睡眠不足の記事もどうぞ。)

「かわいいと思えない」の背景には、もっと深いところにあるものが関わっていることもあります。それは、記事のなかで書けるようなことではありません。

ただ、もし心当たりがあるなら、それは誰かに相談したり、話したくなった時にそのまま、話せる場所に持ってきてください。

言葉にならなくても、大丈夫です。

自分を責めないで、いいんです

この気持ちを抱えるお母さんほど、まじめで、「ちゃんとしたい」と思っている方が多いです。だからこそ、「思えない自分」を責めてしまう。

でも、考えてみてください。あなたは、赤ちゃんのお世話を、毎日ちゃんと続けています。おっぱいやミルクをあげ、おむつを替え、泣けば抱っこする。——それは、まぎれもなく、あなたが赤ちゃんを大切にしている証拠です。気持ちが追いつかなくても、あなたはもう、じゅうぶんやっています。

感情は、あとからついてくることがほとんどです。今は「思えない」ことを、どうか責めないでくださいね。

少しずつ、思える日が増えていきます

この気持ちは、ずっと続くものではありません。

生まれてすぐの赤ちゃんは、泣くこととおっぱい、おむつのくり返しで、お母さんは毎日そのお世話に必死です。そんな毎日のなかで、あたたかい気持ちがわきにくいのは、無理もないことなんです。

でも、日が経つにつれて——赤ちゃんが笑うようになったり、表情が出てきたり、おしゃべりのような声を出すようになったり。赤ちゃんから返ってくるものが増えてくると、「かわいいな」と思える日が、少しずつ増えていきます。

ただ、これも人それぞれです。体も心もいっぱいいっぱいだと、時間がかかることもあります。「1年くらいかかりました」とおっしゃった方も、いらっしゃいました。

だから、「早く思えるようにならなきゃ」と焦らないでくださいね。あなたのペースで、大丈夫です。

いま、できること

「思えなくていい」と、自分に許可を出す

無理に「かわいいと思わなきゃ」とがんばると、かえって苦しくなります。「今は思えなくてもいい」と、自分に許してあげてください。

お世話を、少し人に預ける

心の余裕は、体の余裕から生まれます。少しでも休めるように、パートナーやご家族、産後ケアなどに、お世話を預けてみてください。

気持ちを、声に出す

「かわいいと思えないの」と、誰かに言えるだけで、少し軽くなります。ため込むほど、ひとりで苦しくなってしまいます。

心配なサインと、相談してほしいとき

「かわいいと思えない」という気持ちの多くは、休息と時間で、少しずつやわらいでいきます。でも、なかには、心のケアが必要な状態のこともあります。

次のようなサインがあるときは、がまんせず、早めに相談してください。

  • 気持ちがずっと沈んでいる、涙が止まらない日が続く
  • 眠れない、食べられない状態が続いている
  • 赤ちゃんのお世話が、まったく手につかない
  • 赤ちゃんや自分を、傷つけたいという気持ちがよぎる

とくに最後のような気持ちがよぎるときは、ひとりで抱えず、すぐに相談してください。地域の保健師さん、かかりつけの産婦人科、そして助産院など、身近な専門職にまず話してみてください。そこから、必要な相談先につないでもらうこともできます。これは特別なことでも、恥ずかしいことでもありません。あなたと赤ちゃんを守るための、大切な一歩です。

宮崎で、気持ちを話したいときに

もあな助産院では、産後ケアや育児相談を行っています。

「かわいいと思えない」——そんな気持ちも、よかったら聞かせてください。否定も、説教もしません。ただ、あなたのしんどさに寄り添いたいと思っています。ケアの日やイベントでお会いしたときに、少し話していただくだけでも大丈夫です。

(もし気持ちの落ち込みが強いときは、医療機関での相談も大切です。そのための受診を、先延ばしにしないでくださいね。)

ご予約:LINEまたはお電話で受け付けています。出張ケアもしています。

(産後の気持ちの揺れについては、産後のイライラ・ガルガル期の記事や、上の子にイライラしてしまうときの記事もあわせてどうぞ。)

まとめ

  • 「かわいいと思えない」——そう感じているのは、あなたが初めてではありません
  • 母性は最初から完成していない。少しずつ育っていくもの
  • 思えないのは愛情不足ではなく、疲れきっているサインのことが多い
  • お世話を続けているあなたは、もうじゅうぶん赤ちゃんを大切にしている
  • 赤ちゃんが笑ったり表情が出てくると、思える日が少しずつ増えていきます。1年かかった方もいます。焦らなくて大丈夫
  • 沈んだ気持ちが続く・傷つけたい気持ちがよぎるときは、すぐに相談を

ひとりで、抱えこまないでくださいね。あなたの「しんどい」を、話せる場所があります。


参考文献・補足

  • 本記事は、一般的な医学情報を参考に、助産師としての臨床経験をもとに作成しています。気持ちの落ち込みが続く場合は、産後うつの可能性もあるため、医療機関へのご相談をおすすめします。

投稿者プロフィール

松田ゆかり
もあな助産院(宮崎市)院長。2003年に助産師免許を取得し、20年以上にわたり地域のお母さんと赤ちゃんに寄り添ってきました。もあな助産院は2012年に開業。乳房ケア(BSケア)・産後ケア・クレニオセイクラルセラピーなどを通して、母子のケアを行っています。「お母さんと赤ちゃんが安心して妊娠・出産・産後を過ごせるように。そして、おふたりがもともと持っている力を、しっかり発揮できるように——そんなケアを心がけています。」